2023.02.19
*親切基金からトルコの皆様へ*
この度のトルコ共和国南部を震源とする大地震で被災なさった皆様に、心からお見舞い申し上げます。
2月15日、新・旧学友会会長と新・旧会長代行中学生の4名が、トルコ共和国大使館へお見舞いをお届けしました。
学友会会長や役員と相談し、大きな支援が必要だと考え【親切基金】から差し上げる金額は30万円としました。
お電話でご都合を伺いアポイントメントを取り、学校の大型ワゴンで代表生徒と中学部長とを安全に送迎しました。
大使館では、ご多忙でお疲れにもかかわらず特命全権大使コルクット・ギュンゲン閣下が優しくご応対下さいました。
私も何度か生徒さんとともにお見舞いに大使館を訪れていますが、大使にお目にかかる機会はほとんどありません。
生徒は大使のお部屋にお通しいただき、目録を朗読し白いアレンジメントの献花を添えて閣下にお渡し致しました。
通訳の方を介しながら地震後のトルコの現状や日本の方々の支援への謝意を伺いましたが、生徒は緊張MAXでした。
親切基金の主旨やお見舞いお届け先一覧をお渡しした際に「トルコへ4回」に驚かれ、改めて御礼をいただきました。
大使閣下や大使館の方はお時間を取って丁寧に面会下さった上、最後は玄関までお見送りいただき感激致しました。
愛国中学校・愛国高等学校の【親切基金】は、当時の生徒の発案により昭和34年(1959年)から60年以上続いています。
当初は生徒の皆さんから100万円を目標に長期計画で基金への協力を募り、その利子を役立てようと考えていました。
しかし、同年の伊勢湾台風の甚大な被害を知った生徒たちは集まった中からお見舞いを差し上げることにしました。
こうして校訓の「親切正直」の「親切」実践の一つとしての歴史が始まり、それが今日まで受け継がれています。
現在では、新入生の皆さんに親切基金の主旨をご説明し、お一人200円ずつご協力いただいています。
また、通常の創立記念祭(体育祭)では、お昼休みに中学生が「親切箱」を持ってお客様に募金をお願いしています。
60年を超える活動の中で、お見舞いをさしあげた国や地域は70件にも上ります。
古くはシュバイツァー博士がアフリカの方々のために密林に設立した「ランバレネ病院」への寄付もありました。
今は原則として人間の叡智が及ばない、科学でも道徳心でも抗えない【自然災害】を対象とするようになりました。
東日本大震災の被災3県はもとより、地震や洪水・台風などで被災された世界中の方々へのお見舞いを続けています。
お見舞いをお届けするのは、各国大使館や代表処・県庁の東京事務所・日本赤十字社の本社や東京支社など様々です。
もちろん先方の銀行口座へ振込むという手軽な方法もありますが、可能な限り学友会役員が直接お渡ししています。
代表者が全校生徒の気持ちをお伝えし、現地の状況を伺って生徒に報告することで、被災地への理解が深まります。
本校は生徒銀行で「日常の備えとして計画を立て継続して貯金をする」という【貯蓄教育】を実践しています。
穏やかな日々の生活では「何かあるといけないから…」の「何か」が具体的に思い浮かばないかもしれません。
とはいえ、その見えない「何か」に備えて貯蓄するのは、生徒の皆さんが堅実な人生を送る上で大切なことです。
一歩進め、自分のためだけでなく人のためにもお金を蓄える親切の実践も、意義ある社会貢献だと思っています。
災害等が起こった時、【親切基金】があれば急いでお金を集めて義援金をお送りするよりも迅速に行動ができます。
当然の事ながら、基金にご協力下さった卒業生・在校生は親切基金を使う機会がないことを願っています。
しかし不幸にしてどこかで災害が起こった際の備えとして、これからも善意の積み立てを続けて行きます。
親切基金という制度があることで、人の苦しみ悲しみを我が事と思える繊細な心を育めるとも思います。
30年ぐらい前でしょうか、愛国学園が主催する旅行会で10日間ほどトルコを訪れました。
空の青・海の青・モスクの青が美しく、人々はみな明るく優しく、世界に誇れる歴史と文化の国でした。
被災地の皆様には、厳しい環境下で不安な日々をお過ごしかと思います。
皆様の安全と一日も早い復旧・復興を衷心より祈念申し上げます。