2023.01.14
🌸3年ぶりの新春かるた大会🌸
鏡開きの1月11日、午後から【新春かるた大会】が行われました。
本校では学園創立当初から80年以上、小倉百人一首を覚えて新春に競技を行っていました。
かるたが得意だった卒業生には、今でもお子様やご家族で百人一首をなさる方も多いと聞いています。
昨年・一昨年は社会情勢に配慮して見送りましたが、今年は感染症対策を万全にして3年ぶりに開催。
愛国中学校出身の方以外は、審判を務める高校3年の学友会(生徒会)役員も含めてみんな初めてです。
大会はクラスから選抜された「選手の部」と「一般の部」とに分かれて競技を行いました。
選手以外の生徒さんは、ジャージに着替え各教室で放送に合わせてお友だちと和やかに札を取ります。
学年カラーにクラス名が入ったビブス着用の代表選手は、例年の1チーム5人から密を避け3人に変更しました。
選手はトレーニングルームに集合して開会式を行った後、柔道場の畳の上のコートでクラスのために頑張ります。
漫画や映画の「ちはやふる」では競技かるたを「畳の上の格闘技」と呼んでいるほど激しいスポーツです。
試合は【源平戦(団体戦)】の形式で行い、小倉百人一首100枚の「下(しも)の句の札=取り札」を取り合います。
源(源氏)と平(平家)が向かい合って座り、自分の陣地に3段に並べた50枚の札を早く無くした方が勝ちとなります。
「自陣の札を取る」「相手の札を取って自陣の札を送る(相手に渡す)」「お手付きのペナルティ」で札が減ります。
読手(どくしゅ=かるたを読む人)は国語科の女性の先生、澄んだ声を響かせて独特の節まわしで和歌を朗詠します。
高等学校はトーナメン方式で中学校はリーグ戦で、選手の部は1回戦2回戦と進むに従ってスピードアップ。
かるたは地道な努力が報われるので、「決まり字」を覚えておけば上(かみ)の句の出だしでシュッと札が取れます。
上「あさぼらけ~ 【う】じのかわぎり たえだえに~」→ 下「あらはれわたる せぜのあじろぎ」
上「あさぼらけ~ 【あ】りあけのつきと みるまでに~」→ 下「よしののさとに ふれるしらゆき」
ちゃんと解っていれば【う】か【あ】まで待って判断し素早く攻められますが、中途半端ではお手付きもあり。
ご存じの通り【む・す・め・ふ・さ・ほ・せ】で始まる歌は1首のみ(1枚札)なので最初の1文字で反射的に手が動きます。
久々の大会ではありますが、かるた部やご家庭で経験を積んだ生徒さんが多く、下の句を読む前に決着します。
ちょっと意地悪なことに、取り札は「ひとこそ・ひとの・ひとめも」など、下の句が「人」で始まる歌がいっぱい。
「わがころもで【は】 つゆにぬれつつ」と「わがころもで【に】 ゆきはふりつつ」など、取り札にもトラップあり。
「みをつくして【も】 あはんとぞおもふ」と「みをつくして【や】 こひわたるべき」の2首も お手付きを誘います。
目の前の札を攻め取られれば悔しいし得意な和歌を決まり字でスパッ!と行けたら気分爽快…クセになる楽しさです。
最後は高校の各学年優勝3チームと中学優勝の中1との4クラスがトーナメント戦で学校一・総合優勝を決めました。
決勝は高3と中1、全力で先輩に挑む中学生と堂々と受けて立つ高校3年生の、呼吸を忘れるような真剣勝負でした。
国語科の私も100首覚えていますが、競技としてスキルアップできていないので生徒さんに全く歯が立ちません。
取り札を見て上の句を思い出し決まり字を確認・札の位置を記憶し…そもそも、目も反射神経も若者には敵いません。
私「坊主めくり」は結構強いと思いますが、さすがに「クラス対抗!全校坊主めくり大会」は企画をためらいます。
日本古来の和歌に親しむ入口は、競技でも遊びでもいいと思います。
朗詠することで、五・七・五・七・七の馴染みある心地よいリズムと言葉の美しさとに改めて気づきます。
さらに、作者は誰?どんな意味?どういう状況で詠まれたの?と生徒さんの興味が広がって行けば嬉しいです。
私はかるた大会でこの二人(平兼盛と壬生忠見)の和歌が読まれると、ちょっと切なくなります。
960年(天徳4年)、村上天皇の御前での天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)で競った甲乙つけ難い名歌です。