日々の保育の中で、全クラスが共通して行っている事の中に「絵本の読み聞かせ」があります。
保育園では保育指針に基づいた保育として、保育士や、友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝えあいを楽しむようになるという内容があります。ご存じの方も多いと思いますが、読み聞かせには様々な効果があるとされています。
実際に読み聞かせについて様々な研究が行われており、その中でも、日本大学大学院総合研究科の教授を中心とする研究チームによって行われた実験では、初めて読み聞かせの効果が科学的に実証されたそうです。読み聞かせは、子どもの豊かな感情を養い、「心の脳」が健全に育つための大きな役割を果たし、又、親にとっては子どもとの親密なコミュニケーションの基となり、親子の絆をより深めてくれるそうです。
絵本が子どもに与える効果として
など絵本の読み聞かせにはたくさんのメリットが挙げられています。
読み聞かせの中で実際に園でも経験する事が多いのですが、もう読んだはずなのに何度も何度も同じ本を読んで欲しいとリクエストされることがあると思います。大人としては、「また?」「いつも同じ本ばかりだなあ」などと思いがちですが、それには大切な理由があるとされています。
絵本の読み聞かせの中で一番大切とされている事は、「子ども自身が得られる心の満足感」です。
子どもたちは、何度も何度も満足するまで繰り返します。繰り返すことで、心の満足感を得て、さらに言えばこの繰り返しの中で色々な事を学んでいくのです。そのような事から、絵本の読み聞かせは1回だけ読むよりも、同じ本を繰り返して読んだ方が効果的であるとされています。
保育園では月齢に応じて読み聞かせる絵本を選んでいます。ひよこ組の1~2歳時期には、赤ちゃん向け絵本とされているものから日常生活、子どもにとって興味のある遊びや出来事を描いたものを取り入れています。
特に2歳ころは「語彙爆発」と呼ばれている時期で、急激な語彙獲得の時期にあたり、読み聞かせが話し言葉を豊かにする一つの促進要因となるそうです。
また、幼児期前半の2~3歳児には、言葉だけでなく体全体を通して様々な表現の仕方で関り、子どもは身体丸ごと絵本の世界に関わろうとしていきます。このような体験からごっこ遊びや劇化への発展にもつながってくるとされています。
更に幼児期後半の4~5歳児では、絵本の中心に書かれた物に注目するだけでなく、細部まで注意を向けたり、登場人物の表情変化に気づくようになったりします。
保育園では、ストーリー性のあるものや昔話、童話など読み聞かせしていますが、「しつけ絵本」として生活習慣や、ルールを学べるような内容の物も取り入れています。読むだけで身に付けることは難しいですが、分かりやすく知ることが出来ると思います。挨拶、歯磨き、トイレトレーニング(排泄)、食べ物の好き嫌い、お片付け、お着替えなど様々な物があります。
注意すべき点は、効果を求め過ぎない事です。
絵本には年齢にかかわらずたくさんの効果があります。ご家庭では、毎日というのは難しいとは思いますが、年末はお子様と一緒にゆったりと絵本を見る時間を作ってみるのはいかがでしょうか。 (保育士 中山)