新年度が始まり、早一ヶ月。大人も子どもも生活リズムが整い始め、少しずつ余裕も出始める頃かと思います。なでしこ保育園でも園児の皆さんが泣かずに登園したり、0歳児の新入園児のお子さんは保育士を覚え、安心して抱っこやおんぶをされて時折可愛い笑顔を見せてくれたりするようになりました。
園児の皆さんは大方、ご家庭と保育園で様々な刺激を受けながらすくすくと育っていくことと思います。
余裕が生まれて保護者の皆様の中にはふと「うちの子は保育園の中でちゃんとやれてるかしら?」「お友達と仲良くしているのかしら?」「皆と同じにやれているのかな?」「何か・・周りの子より遅れている気がする・・・」など心配になる方もいらっしゃるかもしれません。保育園でも時折、そのような心配で相談される方もいらっしゃいます。
0~1歳頃は、身体的な発達、例えば、ミルクや離乳食を順調に進められているか、寝返りや、這い這い、歩行とうまく育っていくか等々、気になる所だと思います。
2~3歳頃は、排泄や言葉の発達、友達との関係、4~5歳頃になると友達関係の他にも協調性・主体性・社会性等、徐々に心の発達の方が主に気になってくるのではないでしょうか。
保護者の方に一番知って頂きたい「発達」とは、「育児書通りでなくて良い」というところです。育児書は「おおむねこのくらいの年齢はこのくらいの事が出来る」と書いてあります。「出来なければいけないのではない」のです。
お子さまの発達はそれぞれ違います。早い子もいれば、遅い子もいます。遅いからといって悪いことは何もありません。
例えば、オムツはずし。今は無理せずその子の時期を待つことでスムーズにオムツ外しが成功します。無理にはずそうとして親が頑張れば頑張るほどお子さまにはストレスとなることもあります。健常児であれば中学生になってもオムツをしている子はいません。いつかは取れるものです。
このようにどの発達でもいつかは出来るようになるものだと思います。
しかし、発達の中でも「心の発達」はその子を取り巻く環境や周りの大人の接し方で変わることがあります。主体性・協調性・協同性・社会性などはおおむね、保育園で育つところが大きいかと思います。それでもご家庭で出来ることはあります。
例えば、「保育園で何があったの?」「楽しかった?」と降園時にお子さんに話しかけたとします。
お子さまが自らたくさんお話しをする子もいますが、「わかんない」「知らない」などと言うお子さまがいると聞いたことがあります。なぜ「わからない」「知らない」と言うのか・・・
そこには聞き方に秘密があります。「何があったか」はお子さまにとって沢山あった出来事の中の何を話して良いか分からない状態です。そこで聞き方を一工夫。「今日、一番楽しかった遊びは何?」と聞いてみましょう。「ブロック!」「鬼ごっこ」など何かしらは出てくるはずです。お子さまには「ピンポイントで聞く」ようにすると良いのです。そして「ブロックは何色が好きだった?」「誰かと作ったの?」など更に掘り下げていきます。「完成したときどんな気持ちがした?」と気持ちまで聞けると更に良いですね。自分の思いを言葉にする練習です。
何を聞いても「分からない」と言うときは無理せず、保護者の方の1日の出来事や見た物の話しなど何でも良いので話しをしてみて下さい。保護者の方の話し方や言葉の選び方を聴いて言葉の表現方法を学んでいくと思います。
身近な保護者の方と言葉を通して心を通わせることで人との関わり方や接し方、コミュニケーション力を身につけていきます。
先程も申し上げたように、発達はそれぞれ違いがあります。人と違ったことをすると今は「個性」と捉える事が多くなりました。勿論「個性」であることに間違いはありませんが、それを理解した上で「発達なのか」「遅れであるのか」を見極め、そして認めてあげてそのお子さまに合った関わり方をしながら環境を整えていきましょう。お子さまにとって保護者の皆さんは唯一無二の存在です。一番近くにいる大人がその子を理解し認めてあげることで自己肯定感が育ち、自信を持って生活出来るようになると思います。
小さな事でも構いませんので発達のことでお困りの方はお気軽にご相談ください。 (副園長・子育てアドバイザー 鎌田)