新年度が始まりました。桜の開花は例年よりゆっくりで新年度で忙しい社会人にとっては、桜を見上げてほっこりできる時間があるのは嬉しいです。
子育て真っ最中の方は毎日家事、育児に追われ「桜を見上げる時間もない!!」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、みなさんにはお子さんという一年中笑顔を咲かせる素敵な宝物がいます。その笑顔に癒されながら日々頑張れるのではないでしょうか。
その笑顔は遊びの中から生まれることも多く、遊びと言っても色々な遊びがあり、その一つに「繰り返し遊び」があります。例えば、0歳児、1歳児では「いないいないばぁ」やおもちゃを渡したり渡されたりするときに「どうも」と頭を下げたり、「こちょこちょ~」と言いながらくすぐるのを何度も繰り返したりします。一通りやると「もっかい!(もう一回)」と何度も何度もやってほしいと催促してくるのです。大人としては結構体力が必要ですし、飽きてしまう方が多いのではないでしょうか。
しかしお子さんにとっては大事な成長のステップです。例えば「いないいないばぁ」は相手の表情を読み取ったり、見えないところから急に見えることへの驚きだったり、それが楽しいと感じる心が育ったり、スキンシップや表情から安全な人と認識したり、様々なことを学びます。「物を渡したり、渡されたり」の繰り返しは物事のやり取りの仕方や、指先・手の動かし方、相手に渡すという行為そのものが面白い、相手が受け止めてくれる安心感など、心も体も成長していきます。
大人も繰り返すことで物事を覚えていくように子どもも遊びの中から生活に必要なスキルを獲得していくのです。大人は繰り返し遊びに飽きてしまうのは、すでに身についているスキルだからではないでしょうか。
保育士目線では、「なぜこの子はこの遊びを楽しんでいるのかな?」と探ります。するとずっと同じ遊びのようでも徐々に変化していくことに気が付きます。それがまた面白いのです。例えば物を落とす行為は、何が楽しいのかな?とみていると、音を楽しんでいる・大人の反応を試している・落とすことが楽しいなど、表情や動きから読みとれることが多くあります。そのうち少し遠くに投げてみて指先や腕の動かし方などを試してみるなど、変化していくこともあります。その子にとって何が楽しいのか、何を獲得しようとしているのかを読み解くことはとても楽しいです。
そして繰り返し遊びのもっともよくあるものの中に「同じ絵本を何度も読むこと」があります。大人にとっては何度も読むことは飽きてしまいますね。しかし、子どもにとっては繰り返す中で物語の内容だけでなく、絵の色や形、繰り返す言葉の面白さ、言葉の獲得など、さまざまなことを覚えていきます。
ご家庭では、ティッシュを全部出したり、新聞を破いたり、高いところから何度も飛んだり、いろいろな困った繰り返しもあるかと思います。危険なことはやめさせる必要がありますが、大人がついていたら安全なことは少し一緒に楽しんでみるといいかなと思います。繰り返して満足するとそこで終わることがほとんどです。新しい発見を求めてまた色々なことにチャレンジしていきます。今回の例えは、0・1歳児を中心に書きましたが、どの年齢でも繰り返し遊びはあります。
繰り返し遊びの意味を考えると、お子さんが「もう一回!」と言った時に大人は「またか~」から「いいよ!」の言葉がすっと出てくるようになると思います。きっと面白い発見があるはずです。
新年度がスタートし保育園は新入園児を迎えました。新しい繰り返し遊びに出会えると思うとワクワクします。ご家庭でも少し見る角度を変えるとお子さんの成長をより感じる場面に出会えると思います。
お子さんの成長を一緒に楽しみましょう。桜に負けない笑顔の花をたくさん咲かせられるといいですね!
(園長・子育てアドバイザー 森田)