これは10.10を横にするとヒトの目と眉に見えると言うことで制定されましたが、日本だけでなく、世界各地で失明や視力障害に対する意識向上と啓発を目的としたイベントが多く行われてます。また、10.01も一〇〇一で眼鏡に見えるとのことで『眼鏡の日』とも言われていますので10月は目の愛護について考えたいと思います。
子どもの目について考えると、生後すぐは視力が弱く物をはっきりと見ることが出来ず、明暗を見分けられる程度しかないと言われていますが、徐々に「見る」訓練がされ、およそ6才頃には視力が完成すると言われています。
ヒトは見ることで形、色、明るさや動きそして対象との距離など様々な情報を得て外部の世界を認識します。視覚からの情報はとても多く物事に集中したり、楽しんだり、食べ物を美味しそうと感じたりするなどといった事も子どもにとって心身の健康と成長に多くの意味を持っています。運動や学習をする上でもその意味は大きく、意欲や創造力、思考力、推測やコミュニケーション能力へも大きく寄与します。
この「見る」力を刺激するためには様々な形、色、動きを環境の中に多く取り入れ、「見る」訓練の場を増やしていくことが重要ではないかと思います。なでしこ保育園でも様々な玩具や絵本、創作そして行事の中で沢山の形や色、触感や動きを園児の皆さんに体験してもらえるよう、工夫しながら毎日を楽しく過ごせるように職員一同で協力しています。そして保護者の皆様にはどうぞご家庭でもお子様の興味を刺激するような環境・体験を一緒に経験して頂ければと思っています。それぞれのお子様によって興味を示すものは違うと思いますが、何かに意識を集中することは学習体験のみではなく視力、そして他の感覚器官の成長・発達を促す大切な刺激となるはずです。
感覚器官としての眼を考えると、眼は粘膜で覆われた器官でとても敏感です。眼の付属器官からは涙と皮脂を分泌し粘膜表面の乾燥を防いでいます。粘膜の再生や保護、修復を補う栄養素としてビタミンAやビタミンE、ビタミンCそしてルテインやアントシアニンなどが良いと言われています。保育園の給食でも栄養バランスを考えて献立を作っていますが、ご家庭での日々の食事の中でもこういった栄養素の働きを考えてみるのも良いかもしれません。また、眼の休息の観点からも睡眠はとても大事で、蓄積した疲労物質の代謝が行われたり、傷ついた表面の細胞の修復などは睡眠中に行われると言われています。
子どもの眼は粘膜を守る免疫機構が大人に比べると弱いと言われていますし、子どもはどうしても手指の動きや力の加減が上手く出来ずに眼を掻き過ぎてしまったり、誤って指が目に入ってしまう、まつ毛が目に入ってしまうなど日常的に目を傷つけてしまうことも多いので注意が必要です。ご家庭では爪を伸ばさない、涙や目やにの変化にも、ご注意頂き、結膜の充血や目やにが増えた、瞼が赤い、腫れている、いつもより多く目元に触れるなど気になることがあれば是非眼科医へ相談してみて下さい。眼の流行性の感染症であることもあります。保育園では感染性の眼の疾患と診断された場合には感染力が非常に強いことが多く、園内での感染拡大を防ぐため学校保健安全法に基づき眼科医の診断の元、登園が可能と判断されるまではお休みしていただくこともあります。ご不明な点は是非看護師や職員へお尋ね下さい。
小学校に進学すると学習の場面で「見る」ことが更に大きく影響してくることはご存じだと思いますが、就学前でも絵本に興味を持つ子どもは多く、またご家庭ではテレビやパソコン、タブレットや携帯電話での動画教材などを活用されている場合も増えてきているのではないでしょうか。絵本などの紙媒体以外の電子媒体では画面から出る光線により画像や文字を描写していますので「見る」訓練をしている時期の子どもの場合では大人よりも姿勢や利用時間の調節が上手く出来ず、眼に対する刺激が強かったりすることがあります。是非、画面はチラツキの少ないものを選択して頂き、コントラストを強くしすぎないことやお子様の目と画面の距離を十分に取り、時間を決めてのご活用を心掛けて頂けると良いのではないかと思います。子どもの集中力は素晴らしいものですが、集中し過ぎると、瞬きの回数が減り、眼の乾燥を引き起こしやすくなります。お絵かきや読書でも言えますが、長時間熱中し過ぎることのないよう、眼を休ませてあげることも大切です。
就学の頃までに様々な体験を通して沢山「見る」訓練の機会に触れ、クリアで快適な視力を育み、将来お子様が自由に物事を見聞きし、吸収する基礎を目の愛護の機会を通して考えていければと思います。
保育園での集団生活も、クラスのお友だちとの関わりやお遊び、行事や毎日の登園で見かける自然などを通して様々な「見る」力を刺激し、成長を促すものとなりますように,これからもサポートして参りたいと思います。
(看護師 水吉)