2011年3月11日の東日本大震災から約9年が経とうとしています。幸いにも、現在保育園に在園しているお子さまたちはまだ生まれる前の出来事のため、この災害を経験することはありませんでした。
私たちなでしこ保育園の大半の職員は、9年前の震災を園で経験しました。今でも忘れもしない、あの日の14時46分・・・。
当時、子どもたちはちょうどお昼寝から起きようとしていた時でした。ふだん、定期的に行っている避難訓練の効果もありました。また、愛国中学高等学校から織田副校長先生をはじめ、たくさんの男性教職員の方々が園児たちの避難に協力して下さり、誰一人怪我や泣いてしまう子もなく、無事に愛国の校庭に避難することが出来ました。毛布もお貸し下さり、寒さからも守っていただきました。
現在、園では1か月に1度、地震と火災を想定とした避難訓練を行っており、定期的に消防署員の方をお呼びしてお話を聞いたり、総合避難訓練として職員対象の消火訓練をしたり、年長児を対象とした起震車の体験を行っています。さらに、3月には津波の避難訓練として愛国中学高等学校の校舎6階まで階段を上って避難をする訓練を行っています。
保育園における避難訓練には、大きく分けて3つの目的があります。
●子どもたちにとって
→安全に避難したり、逃げたりするためには保育士の指示をきちんと聞くようにする。
●保育士にとって
→子どもたちを安全に避難させるために正しく指示を出せるようにする。
●保護者にとって
→子どもたちが家庭で災害に遭遇した時パニックに陥らず慌てないで避難できるようにする。
そして、避難訓練自体の大きな目的とは、災害という異常事態に慣れておくという事です。子どもたちが地震や火災などの危機に出遭った時にどうすればいいかを前もって知っておき、それに従って行動することがとても重要なのだと思います。
地震や火災などの災害によっても避難方法は異なりますが、園では子どもたちにやってはいけない大前提の言葉を伝えています。
それは、
お=おさない
か=かけない
し=しゃべらない
も=もどらない
「お・か・し・も」と言われ、標語のようにもなっていますが、これを分かりやすく知らせています。また、子どもたちに災害の怖さや避難訓練の大切さを分かりやすく伝える為に、絵本や紙芝居を用いて伝えています。ご家庭では、お子さまが保育園で訓練のあった日にはどんな事をしたのか聞いてみて下さい。フィードバックすることでさらに子どもたちの防災意識が高まると思います。
では、赤ちゃんや小さなお子さまのいる家庭でどのような対策が必要なのでしょうか。すでに用意されているご家庭もあると思いますが、非常用持ち出しバッグ、家庭での常備畜の2点を分けて備えておく事が必要です。小さなお子さまのいる家庭では、粉ミルクや紙オムツ、賞味期限の長いベビー菓子、携帯用のトイレ、お薬手帳等があると良いでしょう。子ども連れでの避難は密着できる抱っこひもを活用しましょう。安全かつ、両手が空くので荷物を持ちやすくなります。地域のハザードマップ等で安全なルートを確認しておきましょう。何か、困った事があったり心細かったりする場合は周囲の人に助けを求めることも大切です。一人で何かしようとせずにお互いにさせ合って乗り切ることも重要です。
以前保育園でお配りした、東京都の冊子「ハローキティーのおしえて!防サイくん!」は防災について分かりやすく書かれているのでお子さまと一緒にご覧になってください。大きな地震が起こってから避難訓練の重要性に気付くのでは遅すぎます。
ご家庭でも今一度、避難場所を把握し、常日頃から意識して備えておくことが重要だと思います。引き続き私たちも、子どもたちの安全を守り、防災意識を高めるために備えていきたいと思います。
(保育士 中山)