みなさんの中でリトミックは、ピアノや水泳などに比べるとまだ馴染みが少なく、その内容やもたらす効果について疑問の多い方もいるかと思います。「リトミックって何だろう?」「聞いた事はあるけど、どういう事をするのかな?」と思う方でも、簡単に知って頂ける様に、①リトミックとは何か、②親子でリトミックを楽しむ遊びを紹介したいと思います。
①リトミックとは何か
「リトミック」は、スイスの作曲家エミール・ジャック=ダルクローズが考案した音楽教育法です。音楽に合わせて体を動かしたり、楽器を使って演奏をしたり、音楽に関する能力だけではなく、身体的な面、感覚的な面、知的な面など、あらゆる角度から子ども達の感覚を刺激し、個々が持つ潜在的能力を引き出す効果が期待できると言われています。子ども達のリズム感や運動能力などを育む「リトミック」は乳幼児期から始められます。
又、保育園、幼稚園、音楽教室で取り入れられ、私の担当クラスの3歳児でも取り入れています。例えば、ピアノの演奏に合わせて体を動かしている途中に、園児の皆さんに動物の名前を一つ言います。すると、自分が思うその動物を演じます。「象」と伝えた時は、片腕を左右に振って表現する子や、手足を床につけゆっくり歩いて歩き方の真似をする子など、一つの動物で子ども達の思う象は様々なのです。ピアノのテンポをゆっくりにした際は、動きもゆっくりになり速いテンポだと素早く動いたりと良く音を聞いています。他にもリトミックを遊びの中に取り入れながら楽しみ、感受性・創造性を大切にして日々の保育をしています。
②親子でリトミックを楽しむ遊び
0歳児は、まだ音楽に合わせて動くという事は難しいのでリトミックの導入としてご家庭の方がお子さまに歌を歌って触れてあげるとよいでしょう。親子でのスキンシップとして楽しむのはどうでしょうか。
例)わらべうた「ちゅちゅこっことまれ」
ちゅ ちゅ こっこ とまれ とまらにゃ(赤ちゃんの片手を持ち、手の甲を人差し指で軽くつつく)
とんでけー!(遠くを指差すように、人差し指を上の方にあげる)
ポイントとしては、月齢が低い子は、膝に乗せて後ろから抱えるようにして手を持って遊ぶと良いです。また、お座りが出来る様になったら向かい合い、喜んでいるのか・嫌がっているのか、お子さまの表情を見たり声を聞いたりして様子を見ながら遊びましょう。
※遊び方を覚えたら、頬・鼻・肩・胸など、体の色々な所に触れ、くすぐりながら遊んだり、布やお手玉を片手に持ち、「とんでけー!」で一つずつお子さまに渡したりしても楽しいですよ。
1歳児は音楽をかけると体を動かしたり色々な動きができる様になったり、親の呼びかけに反応したり興味を持った物を触って確かめたりします。
例)童謡「どんぐりころころ」
一曲の中で全身を使い、お子さまと寝転がりコロコロ転がってみたり、後ろ歩きやドンドンと足で音を出したりして遊びます。
ポイントとしては、お手本になる大人が楽しそうにする事で子どもは「何だろう?」と思い興味を示し真似をしていきます。
※音楽を途中で止めて、動きもピタリと止めるともっと楽しめますよ。また、ペットボトルにドングリなどを入れて楽器にして音を鳴らすのも楽しめます。お子さまの興味や発達に合わせて、楽しんでみてください。
2、3歳児は言語や身体機能の発達が進みます。また、コミュニケーション能力も備わってきているので言葉と拍子の遊び・道具を使った動きも楽しめると思います。
例)言葉と拍子遊び
【食べ物シリーズ】
拍子と食べ物の名前を一緒に言う遊びで言葉の文字と拍子の拍数が同じこと。
○2拍子(すし、いか、なし、あめ等)
○3拍子(いちご、きのこ、たまご、ばなな等)
○4拍子(おにぎり、やきとり、焼きそば等)
ポイントとしては、2歳児は大人と一緒に言葉と拍手をやると真似をしてできると思います。3歳児は、大人が言った言葉と拍手を一度見てもらってからお子さまに続けてもらうと楽しめます。
※食べ物以外で乗り物、海の生き物などバリエーションを変えたり3文字を2拍に変えて楽しめますよ。
4、5歳児は、体幹もしっかりして今まで出来なかった動きを使って表現する楽しさを感じることができます。リズムの取り方も上手になります。
例)わらべうた「あんたがたどこさ」
両手に収まるくらいのミニボール(ボール以外にもぬいぐるみやおもちゃ等、ご家庭にある物)を用意します。
お互い向き合い「あんたがたどこさ」の歌を歌います。
あんたがたどこさ ひごさ
ひごどこさ 熊本さ
熊本どこさ せんばさ
せんば山には たぬきがおってさ
それをりょうしが 鉄砲で打ってさ
にてさ 焼いてさ 食ってさ
それをこのはで ちょっとかぶせ
歌の中の「さ」のところで持っているボールを相手に渡します。考えながらボールを渡すため集中しなければ間違えてしまうので集中力が身につきます。
ポイントとしては、最初はボールは使わずに「さ」の時に手を叩いたり手を頭に乗せたりしてみて下さい。ある程度慣れてきてからボールを使うと良いです。
※いらなくなった紙や広告誌をB5ぐらいの大きさで床に6~8枚間隔を空けて散りばめ、あんたがたどこさの「さ」で紙を踏みます。それまでは、紙を出来るだけ踏まないように紙の間を歩き続ける遊びも楽しめますよ。
このようにリトミックはご家庭でも楽しく遊べますし音や声に合わせて身体を動かすことや、さらに道具を用いての動き、ペアでの動きなど幅広い動作をしています。つまり遊びながらお子さまの能力を伸ばしている素敵な音楽教育法なので親子でスキンシップを取りながら楽しんでいただきたいと思います。 (保育士 近藤)