言葉は人間になくてはならないものです。言葉を使って意思の疎通をするのは人間だけです。その「言葉」の獲得は0歳児の喃語から始まり、1歳児では一語文、1歳6か月では二語文、2歳頃は三語文、2歳半からは会話ができるようになっていきます。2歳から6歳までに1日6語~10語新しい言葉を獲得しているとも言われています。言葉の獲得は、体の発達がグングン伸びていくのと同じように幼児期にたくさん獲得して伸びていくものです。
その言葉がなかなか出ずに遅いなと感じたり、言葉遣いが気になったりとご家庭の方は心配になられる方もいらっしゃると思います。
言葉についてたくさんお伝えしたいことはありますが、今回は「言葉の遅れ」と「言葉遣い」の2つにしようと思います。
言葉の獲得には、環境も大事です。お子さまが小さいうちからよく話しかけるご家庭のお子さんは表情も豊かで言葉が出てくるのも早いのではないかと思います。身近な大人が語りかけることが一番大切です。しかしお子さまが大きくなってくると、例えば兄姉がいる場合やご家庭の方が言いたいことを先取りしてしまうことがよくあります。そうすると、自分で話をしなくても通じてしまうので言葉が出ないこともあります。
そして最近は、テレビやスマートフォン、パソコンであらゆる楽しいものが見られます。その場にいながらも違う世界が見られるという魅力や、世界とつながることができることは大変素晴らしいことなのですが、言葉の獲得には不向きな部分があります。画面は一方通行になります。言葉はあふれるほど浴びますが、それに対して言葉で返す回数は人と会って会話をするよりもだいぶ減ってしまうからです。子育てをそういった便利ツールに任せっきりにしてしまうと、言葉の遅れにもつながると思います。(便利ツールは使ってはいけないのではなく、適切に使っていきましょう)
言葉が出るようになるためには「周りの大人が語り掛ける」「言いたいことを取ってしまわず言葉を待つ」ことを心掛けてみてください。さらに、なるべく顔を見ながら表情豊かに語り掛けることによって、「言葉」だけでなく「心情」を読み取る力もついていきます。相手の声の大きさ、声の高低、表情から相手の気持ちを汲み取り、どのように話せば相手に自分の思いが伝わるかなどが身についていきます。
うまく伝わらないと、癇癪を起してしまうお子さんもいらっしゃいます。その時は大人がその気持ちを汲み取りまずは「うまく伝わらなかったね、ちょっと悔しかったね」とその時の気持ちを代弁してあげてください。そのあとに「何を伝えたかったのかな?○○かな?それとも△△かな?」と選択肢があると答えやすくなりスムーズに言葉が出ることも期待されます。
次に言葉遣いです。「保育園に行くようになったら言葉遣いが悪くなった」とおっしゃる方がいらっしゃいます。小さなころから社会に出て様々な言葉を覚える中で様々な人との関わりが増えると、どうしても適切でない言葉、言葉遣いが悪くなることはあるかと思います。また、テレビやスマホ・パソコンなど便利ツールで覚えてくることも増えました。少なくともなでしこ保育園では言葉遣いが正しくない時や表現方法が適切ではない場合は、訂正し正しい言葉を伝えていきます。「そういう言葉もあるけれど、こういう風に伝えた方が聞いている方も気持ちがいい」ということをその都度伝えます。たくさんの情報があふれる社会で言葉の獲得にあたり俗に言う「悪い言葉」を覚えることは避けられません。これは周りの大人が正すのが一番いいのではないかと思います。幼少期に正しいことを伝えておくことは必ず大人になってからも心に残ります。今すぐに治らなくても、きっといつか思い出してくれるはずです。
言葉の悩みについてはご家庭によってそれぞれ違うと思います。今回は特に多い上記の2つを取り上げてみました。少しでも気になることがあれば、通っていらっしゃる施設や子育て広場など相談に乗ってくれるところはたくさんありますので是非相談してみてください。
(園長・子育てアドバイザー 森田)